畑島写真研究所

Hatajima Photo Laboratory

hermit green



電車もバスも終わり、まばらに車が通り過ぎるだけの時間に歩き始める

あてもなく、しかし帰り道のこともどこかで意識しながら

見上げたマンションにはいくつかの灯りが残っていて、もしすべての部屋が暗かったら寂しさを感じられるだろうか、などと思う

視線を戻せば、生真面目な管理人のように佇む緑が明るい蛍光灯に照らされている


君は顔なじみ程度の知人だろうか

あなたは腰の曲がった見知らぬ老人だろうか


ガラス越しにひとつ会釈をして、足の痛みと相談しながらまた歩みを進める

環状七号線から環状八号線へ、いっそ多摩川を渡って途方に暮れようか、いやそもそもすでに途方に暮れているのか

展示を終えて呆然としていた五月


遠くで暮らす年老いた両親や、遠くで暮らす昔からの友人を想う

それでも寂しくはない

誰もいないからこそ誰かに会える夜がある


まだ出会っていない人を想う